病院だより
当院では循環器診療に特に力を入れて診療していることもあってか、心臓疾患の紹介症例やセカンドオピニオンの患者さんが増えてきました。 そこで今回は心臓病の治療についてちょっとお話したいことがあります。
循環器学会の講習会や、心臓病のセミナーに積極的に参加していると、お薬の過剰投与に関するお話が時々出てきます。 大学病院などにセカンドオピニオンでくる患者さんの中には、必要のない薬を処方されていたり、過剰に投与されている子もいるようで、薬をすっかり変更することもあるそうです。 実際、当院にセカンドオピニオンで来られた患者さんでも、同じように薬の変更を検討することは多々あります。
そのようなことが起こる一番の原因は、ちゃんとした検査が行われていないということがほとんどです。 (もしくは検査はしてもらったけど、その説明が曖昧で治療法がぶれているケースなど。)
そんなことあるのと思われるかもしれませんが、残念ながらあります。 基本的に獣医師は人間のように大きな研修システムなどがないので、自身が勤めて師事する病院の色がすごく出ます。(人のお寿司屋さんとかみたいですね。) 人間みたいに専門の科に分かれていないこともあり、検査方法や治療法などが病院によって違うということが起こりやすいのです。(その病院伝統の治療法などが存在したりすることも) また同じ病名であれば状態に関わらず同じ治療が施されてしまうということもあります。 同じ病名でも個々の状態の違いや、また他に併発している病気によって治療法が全く変わることもあります。
しかし同じ病名が付くと、この違いを無視して条件反射のように同じ治療をやっちゃうわけです。 例を挙げると、ある患者さんが僧帽弁閉鎖不全症という病気でAというお薬を飲んでいるとのことだったのですが、このAというお薬はたしかに僧帽弁閉鎖不全症では典型的なお薬なのです。 ところが、この患者さんを検査したところ、心臓の機能に一部特殊な状態がみつかりました。 僧帽弁閉鎖不全症はその通りなのですが、このケースではAというお薬を飲む必要がないどころか、悪い方に働く恐れさえあると判断するのが妥当でした。そこで内服の中止を指示しました。 というようなことがあるのです。
このような判断というのはしっかりとした経験と知識の元、丁寧な診察を行わないと難しいです。 当院は、より専門性の高い、しっかりとした診療ができるよう循環器の講習会や、セミナーに積極的に参加しています。これまで数百の症例を診た経験もあわせ、診療にあたっております。 今、心臓病でお悩みや不安を抱えられていることがありましたら、いつでもご相談ください。
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